高配当株ETFの選択「VYMとHDVのどっち?」
昨日に引き続き、「VYMを選ぶ?HDVを選ぶ?」というよくある疑問について紹介します。他のETFとの比較も紹介しているので、高配当株ETFに関心を持ったら、以下のページもご覧くださいね。
VYMとHDVはパフォーマンス的にはよく似ていますが、ETFのコンセプトに注目すると選びやすくなります。
VYMは昨日の投稿でも書いたように、特定の条件を満たした配当利回りの高い銘柄を、時価総額比率(= 株価 × 発行株数)の比率で組み入れてポートフォリオを作ります。「配当利回りの高い銘柄は選ぶけども、ポートフォリオの構成比率は市場の判断に任せる(= 市場の値付けは正しい)」という考え方で運用されています。
一方、HDVは投資のアナリストが、配当の持続性があり、かつ財務的に優れた銘柄をピックアップしてポートフォリオを作っています(HDVの銘柄の構成比率は配当金の額で決まります)。つまり、市場の値付けは間違えており、優良で割安な銘柄を探し出せるという考え方です。
いかにもアクティブファンド的な考え方ですよね。
HDVのような商品を正確にはどう分類できるか詳しくないのですが、おそらく「クオリティファクターやバリューファクター」かそれに近い特徴を持つものに分類できるかと思います(以下の記事を見るとそうですね)。クオリティもバリューも「優れた企業を割安な価格で投資する」という、いわばバフェット的なスタイルに近いものです。
MSCI FaCSを使ってVTやVTI、HDV、VYMなどの海外ETFのファクターウェイトを調べてみた | 関東在住福岡人のまったり投資日記
さて、再び以下の図ですが、現在のHDVとVYMのパフォーマンスを見ると、市場の価格に任せたほうが上手くいっていたように見えます。HDVは経費率が0.08%(2021年6月現在)と低コストな部類ですから、VYMとのパフォーマンス差は、構築したポートフォリオの成績差が出ていると考えてよさそうです。
VYMとHDVの選択はそのあたりを根拠にすると良いと思います。つまり、
- 市場の株価の判断は正しい(投資家は割安な銘柄を探し出せない)と思うならVYM
- 投資家は割安な銘柄を探し出せると思うならHDV
一説にはクオリティファクターについて、下落相場での損失は抑えやすいが、上昇相場にはあまり強くないとの研究例があります。これはもしかしたら銘柄の「優良性」が株価のボラティリティを抑えてしまうからかもしれません。個人的にHDVが保守的だと考える根拠はそのあたりです。